雨の中を泳ぐ日々

思いつくがままの気分の記録

ミュージカル「キレイ−神様と待ち合わせした女−」の感想

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この日は最初は「キレイ」だけを見る予定でしたが、どうしてもDULL-COLORED POPの「マクベス」が見たくなって急遽チケットを確保して遠征しました。

これもかなり面白い作品でした

そのあと渋谷に移動して、一旦Apple渋谷でスマホのディスプレイ交換をお願いして、そのあとシアターコクーンへ。

今回は、この公演発表時に乃木坂46生田絵梨花さんが主演ということで、各方面話題になったと思います。自分も正直、驚きました。今年は伊藤万理華さんが根本宗子さんとの仕事だったり、生田絵梨花さんが松尾スズキさんとの仕事ということで、自分がよく見てきたフィールドの中に乃木坂関連が入ってくるという不思議さを味わっています。樋口さんがタクフェスってのもすごい話ですが。

今回はその「キレイ」の感想をかんたんにまとめておきます。

大阪公演などもまだあるので、畳んでおきます。

あらすじという部分の話は、さておき今回は生田さんがうまくハマるのかな?というのが一番の関心事でした。多少なりともアクのある松尾スズキさんの作品。このミュージカルは比較的、過去の自分との向き合い方とか、封印してきた自分の痛みみたいなものっていうのが、話の根底になります。このあたりはどちらかと言うと成長したケガレである麻生久美子さんがうまく演じていたなと思います。麻生さんはすごく良かったです。歌もそうですが、やはり演技という部分でも、「ケガレ」「ミソギ」という自身の存在に対する戸惑いだったり、懸命に何かに足掻こうとする姿勢だったり、そういうものがよく伝わってきます。彼女のキャスティングは正解でした。というか、個人的に大好きな女優さんなので、舞台での彼女の良さを再発見できて、嬉しいです。

あと俳優さんですごいなと思ったのは、小池徹平さん。うまかった、、、歌もそうですが、ダンスシーンでのキレ、コミカルな雰囲気、冷たさ、いろいろな表情を見せてくれます。昔からミュージカルに出ていて、鍛えられているからだと思います。後半に入ったあたりから出番が多くなりますが、感心してみていました。同時に神木隆之介さんも、コミカルな場面でふわっとした感じを上手く出していて、これも印象的。小池さんとの対比がうまく出ていたと思います。この二人の配役は流石だなと。ハリコナのキャラクターの変化がうまく出ていました。青年ハリコナを小池徹平さんが演じているってのも、ミソですよね。

あとは鈴木杏さんのカスミ。これも見事でした。彼女は舞台で見るたびにうまいなあと思います。今回も前半の無邪気さと、後半の優しさと、その両方が良い意味での共存した役柄ですが、違和感なく演じていたと思います。

生田さんに関してはどう思うか、、、、、正直歌唱力とかにはなんの不満もないです。さすが、技術的には普通に上手い方ですし。感情の入り方なのか、彼女の持つ空気なのか、、、、役柄としてもそういう部分が強いってのもあるんですけど、翳が感じられないから、天真爛漫なケガレでいる印象だけが残っています。まあでもそういう翳が麻生さんの領域かな。個人的な先入観もあるかもしれません。カウボーイとの性的関係って言う部分が重くのしかかっているはずですが、そこにあまり結びつかないので、どういう感じでケガレのキャラを受け止めるのか?がなんとなくピンとこない印象が自分にはあります。でも最後に地下室で、神様にあって「キレイ」になるっていう部分で行くと、生田さんの存在がすごくぴったりハマっているという印象も残ります。

 

マジシャンのある種の狂気(大げさ)から始まった誘拐、純粋なきれいなものを手元に置きたい、ただそれが「ケガレ」てしまった、そしてそれは手元から離れてしまった。マジシャンの持つそういう気持ちの部分が阿部サダヲさんだと、個人的にはすごく優しく見えています。これはいいのか、悪いのか、、、、個人的にはもっとグロい部分なのかな?とか思いつつも、この作品だとそういうものでもないのかなとか思ったり。

皆川猿時さんが、ストーリー全体での言い回しになっていて、時代や関係性の変化のときにぐいっと動かしている感じが良かった。歌やダンスのシーンでもドシッと要になっていて、こういう役者さんがいると作り手は安心だろうなと。それは猫背椿さんにも同じ話があって、重い場面でもうまくバランスが取れるキャストが使えるのは贅沢なことだと思います。

過去の「キレイ」と比べるとまたいろいろと思う部分がある人もいるかもしれません。実際、生田さんに言わせるセリフが変わっているとか、そういう部分をどう思うのか?とか。ストーリーとしての大きな変化はないので、地下に戻ったケガレが、そこにいる過去の自分とゆっくり時間を過ごして受け止めていくという終わり方は、この配役でピタッとハマってもいますね。

個人的には「生き恥をさらすってことは、生きていることの実感だよ」ってセリフ、ダイズ丸にスパッと言わせるかっこよさ。あそこは毎度ながら良いなと思います。ふざけたキャラクターなのに、かっこいいセリフを言える橋本じゅんさん、流石です。

今までのキャストと重なった部分を持ちつつ、新しい「キレイ」がうまく出来上がっていたと思います。また新しいキャストで見てみたいなと。

 

(追記)

こういうミュージカルというか、音楽劇というか認識では、個人的には「世界は一人」のほうが好みだなあとは思った。

あの作品は「キレイ」にも出ている岩井秀人さんの作・演出なのだが、音楽の使い方、歌の場面の叙情的な感じ、個人的には舞台上の場面と相まってすごく印象に残る作品だった。歌と感情のミックスが見事だったと思う。

今回の「キレイ」は全体の構造として、歌と心情の重なる部分が、それこそその岩井さんの歌だったりする。これはSNSで他のフォロワーさんも指摘していたが、上手い下手も大事だが、やはりストリー上の登場人物の気持ちの部分が、どれだけしっかりと伝わるような手法になっているか?も好みに入るかなと。

生田さんとか上手いし、特に最初の場面での歌とかは高揚感を強く感じさせてくれて、さすがだなと思う反面、やっぱりケガレとしてのキャラがうまくハマっているのかが、自分に少し響いていない感じはしている。

ミュージカルっていう作風、今年は何本か見たけど、歌の盛り込み方って難しいなと再認識した。