雨の中を泳ぐ日々

思いつくがままの気分の記録

三谷幸喜「江戸は燃えているか」2018.03.23 at 新橋演舞場


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三谷幸喜さん作・演出の「江戸は燃えているか」を見てきました。

場所は新橋演舞場です。 普段は大物俳優の公演とか歌舞伎、ジャニーズ事務所が結構使いますよね、次の公演予定もタッキーだった気がする。

三谷さんがこういう箱を使うのは珍しい気もしますが、幕末ものということで、出演者もかなりの大物揃い。期待感満載で見に行きました。パルコ劇場が使えないからってのもあるか、でも大きい箱だったことで、セット組みとかかなりきちんとしていたと思います。

キャストですが、

中村獅童さん

松岡昌宏さん
松岡茉優さん

高田聖子さん

八木亜希子さん
飯尾和樹さん

磯山さやかさん

妃海風さん

中村蝶紫さん

吉田ボイスさん

藤本隆宏さん

田中圭さん

豪華ですね、本当に。松岡茉優さんは体調不良で休演された日がありましたが、今回は無事に出演されていました。

最もその日は、三谷さんが台本を持って代役をするという伝説も産まれたのですが(笑) 

席は三階の中央、やや目線は高目でしたが、十分に見ることはできました。花道がちょっと見切れますが(笑)そのあたりはやはり一回席のほうが良いと思います。値段とトレードオフですね。

内容と感想をまとめておこうと思います。

今回は歴史上有名な「江戸城無血開城」向けての勝海舟西郷隆盛の事前会談を巡るコメディになります。

勝海舟中村獅童)は度胸なし、女ったらしという設定。西郷隆盛が近くにまでやってきていて事前に話し合いをしたいという申し出にビビって、会談をするしないでひと悶着。なんとか江戸を戦場にしないようにするために、勝海舟の娘(松岡茉優)や義理の弟(田中圭)たちが考えた妙案は、本物の勝海舟には会談の間、外に出てもらい身代わりとして、ちょっと似ている庭師(松岡昌宏)に会談の場に出てもらい、降伏条件を交渉することだった、、、、

とまあ、こういう発端からドタバタが続いていきます。前半はニセ勝海舟の会談、後半はニセ西郷隆盛を立てて、そこから勝海舟西郷隆盛の本物の会談という流れになります。

 とにかく笑った二時間。このそれぞれの重要な会談に代役を立てるという発想から、相手をうまくだますためのドタバタが面白い。そこから広がるさらなる誤解がさらに笑いを誘います。もっともその誤解が最後に微妙な寂しさを生み出すことになりますが、、、。

中村獅童さんは、勝海舟の新しいキャラクターがうまく出ていたと思います。お調子者で、助平、豪気な反面すぐにビビる、実に人間味にあふれたキャラクターをバランスよく演じていたと思います。歌舞伎役者さんですが、セリフ回しもそういった感じが残らずにいたので、また違う作品でもみたいなと。松岡昌宏さんは、庭師としての作りこみが本当にうまい。ポーズや口調などすごく考えて演じているなというのがよくわかります。ああいうぶっきらぼうなキャラクターが非常に似合う。

今回の作品の面白さは、前半のドタバタに関して実にうまく伏線を張っていること、三谷さんらしい作り方です。法被を着て座っていた庭師が勝海舟に似ていたことから、身代わりにしようと考える、実際は西郷と海舟は一度会っているのに横に座ればごまかせるという浅はかさ、さらにそれに気が付かない程度の西郷、、、、そういうばかばかしい流れに対して、周りの人間が必死になって動き回る滑稽さ。特に女中の高田聖子さんの熱意は特筆ものです。

後半の西郷の身代わりの件は、西郷似のデク(藤本隆宏)を立てますが、海舟の娘(松岡茉優)との所帯を持つという設定で進むところが、またうまくはまるように進んでいくのが面白い。昔見た「君となら」のような感じです。最後は本当の勝海舟西郷隆盛が会談をして江戸城無血開城を決めます。ここで初めて勝海舟の本物の意味が出てきます。途中、急所の手術云々の話が出てきて、ここでの「萬屋」という掛け声と「TOKIO」の掛け声が絶妙でまた爆笑。最終的に会談は成立しますし、ドタバタの中のウソもすべて解決していきますが、最後に起こる出来事がこの芝居の紹介にある「歴史をつくった偉い人たちと歴史に名を残さなかった庶民たち」という言葉が深いなあと。ここで庭師が懸命に偽物を演じ続けるつもりですが、本物には勝てないという場面が出てくるところが印象的です。

庭師に起こる出来事は、偽物が、歴史に残らない人物はひっそりと消えていくという意味なんだろうなあと。それがラストの勝海舟と庭師の対比という構図になっていたんだろうなあと思いながら見ていました。コメディの中にある歴史を実感させる場面だったと思います。

今回は松岡茉優さんがとにかくかわいらしかった。気の強い娘役を元気よく熱演していたと思います。あとは八木亜希子さん、チャーミングですね。三谷さんは八木さんをよく使いますが、彼女が持つ天然な空気感が今回の勝海舟の妻という役どころにピッタリはまっていました。

コメディとして、本当にうまく構成された脚本、役者陣で見に行ってよかったです。もう一回、見ておきたかったですね。ぜひ、再演をしてもらいたい作品になりました。