雨の中を泳ぐ日々

思いつくがままの気分の記録

舞台「見殺し姫」10月14日(土)ソワレ


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乃木坂46三期生が出演した舞台「見殺し姫」を先日、見てきました。場所は渋谷のAiiA2.5シアタートウキョウです。乃木坂ファンにはすっかりおなじみの場所でしょうか。三期生は以前「三人のプリンシパル」という作品に出て、演技の経験はありますが、本格的な舞台作品は実質これが初めて。現在非常に人気が高い三期生メンバーに対する期待も高く、どういう演技をするのかが注目を集めていました。TL上では俗にいう「落選祭り」でしたが、自分は運よくこの公演だけ確保できたので、仕事終わりに見に行きました。ちなみに前回の「プリンシパル」は申し込み自体を忘れていたので、未見です。その時からどのくらい成長しているか?などは正直わからないので、単純に作品に出演したメンバーの演技を見て感想を書いておきたいと思います。

まず、真っ先に思ったのは、脚本・演出の松村武さんがよい仕事をしているなあということ。正直「犬夜叉」のような脚本になったら厳しいなあという気持ちだったのですが、完全オリジナルということで、時代設定的にはあいまいな平安~戦国時代あたりのストーリーを自由に描いたと思います。また12人のメンバーのための当て書きも、運営とのヒアリングも含めてしっかりされていて、個々のメンバーのキャラクターを活かした設定をはめ込んでいました。見に来たファンの方々もある程度納得できるというか、すんなりと入りやすい部分は多かったと思います。正直、12人プラス藤木孝さん、かとうかず子さんは多いなあ、、、と思っていて、どのように進めるか?という危惧もありましたが、普段カムカムミニキーナで作られているだけに、さすがの按排でした。

ストーリーは、ある国を治める女性の長(おとど)と、諸国から集められた人質の姫12人、その姫のお世話をする爺や(蓮時)の運命について描いていきます。語り部は蓮時役の藤木さんと、汐音姫役の久保さんが進めていきます。自分たちがなぜここにいるのか?疑問を持ち始めた久遠姫(与田さん)が行動するところから物語は始まり、姫たちが少しずつ自分たちの運命に不安と疑問を持つ。中盤以降、自分たちを人質という立場とはいえ、育ててくれたおとどの窮地を救うため、12人の姫たちは「赤兎」というおとどを守る軍団として活動するが、結局最後におとどは病死、そして存在意義のなくなった12人はそれぞれの人生の方向を向いて歩み始める、、、という筋立てです。

ストーリー的には悲劇と見ている感想が多く、個人的にはちがう印象を持っていたので、そうかー、、という感じでした。まあ梅澤さんの朱雀姫などは確かに最後、妾として自分たちを襲う諸侯のもとへ行くとか、何人かの姫には必ずしも夢と希望という感じがなくなっているという部分もあるからだとは思います。自分としては、最初は人質としての一生に疑問を持っていた12人の姫が最後は人質ではなく、自分の選択でそれぞれの進む道を模索した結果という感じで見ていたので、その運命からの解放という時点で、割とポジティブじゃないのかな?という解釈だったので。Twitterでも書いたのですが、むしろもっと悲劇性が高い結末のほうが、おとどに翻弄され続けた人生として面白くなったのかなと思いながら。後半、病床にあるおとどのところへ、「赤兎」として活躍した12人が臨終の場で「この人質たちを殺せ」といわれるシーンがありますが、あそこでおとどが「自分もそういう運命を歩んできた」と独白する形でそのまま終わってしまいます。あそこで本当に殺されるために追われていく12人を描いたら面白いなあ、、、と思っていました。あそこでおとどが死んでしまうことで、その人質としての人生が終焉してしまう。人質時代のもとの屋敷に戻って生活をまたしますが、それはもう「見殺し姫」としての人生ではないことが、一人ひとりの選択を生む状況になっています。もちろん病気ですぐに死んでしまう、超能力を扱ったことで異端者として見せしめで殺されるなど、人生としてはいろいろとありますが、少なくとも人質ではないことと、一時はおとどを助けるという目的を持ったことに意味があるのかなと。多岐都姫のように自ら戦地に赴き、おとどの遺志を守るといった動きをする姫もいたりで自分の運命を自分の意志で変えたことが、この筋書きのポイントかなあと。

だからまあ、悲劇的にしたらおもしろいかなという感想だったりもするのですけど。あと、序盤の姫を紹介しつつ現状を見せていく流れが、結構単調でそこは正直面白くはなかった。動きが少ないのは仕方ないのですが。人物紹介はどうしても必要だし、特に12人のバランスもあるので。

メンバーたちはよくやっているという印象の子が多いです。やはり演出上も今現在の力量に合わせて、バランスをとったせりふ量や演技になっていました。ファンの人によっては、もう少し出番が、、、という人もいるかもしれませんが、あの人数でのあてがきと演出全体を考えると、現在の力量でバランスをとるのは仕方ないことだったと思います。そんな中、語り部として頑張っていた汐音姫役の久保さんは、しゃべり方がやはり評価できる部分だと思います。せりふを語る明瞭さや落ち着きが評価できるところかと。実際は大役なので緊張も大きいでしょうが、決して動じることなく落ち着いたしゃべりを披露していたと思います。一定のリズムで発することは難しかったでしょう。逆に落ち着きすぎていた分、感情の抑揚が付きにくく、ラストシーンのような場面では感情が乗ってきていますが、逆にリズムが同じになりすぎるのも難しいところ。淡々と語る感じになってしまうといけないので、演出の問題もあるとは思いますが、これからいろいろと経験していくと細かい抑揚の部分なども身につくと思います。

沙霧姫の山下さんは、汐音姫が語りであるなら、位置的には「観察者」でしょうか。ゲネプロでの記者会見でも「目が強い」という話が出ていましたが、彼女が持っている「目の強さ」がそのまま沙霧姫のキャラクターに宛てられていた印象です。山下さんは意識的に声の抑揚をつけていた印象です。演出的なよい悪いではなく、取り組みとして評価できます。他の姫との対比を考えても、明るさや好奇心といった姫の印象が残ったと思います。もっと天真爛漫な感じがあってもよいのですが、あまりはしゃぎすぎると大園さんの那由他姫とキャラクターがかぶってしまうので、難しいですね。演技でいろいろと身に着けていくなら、今は意図的にオーバー気味に演じるのはありだと思います。そこからそぎ落としていけばよいので。彼女はもっと怖い役でもいいかもしれません。

もう一人、動きを生み出すポジションだった久遠姫の与田さん。うまくなったというTLでの感想が多く見受けられて、どういう感じかなあと思ってみていました。正直、久保さん、山下さんに比べると、もう少しかなという印象です。ストーリーを動かす役柄でもあるので、演出上も場面内での役割が増えています。日頃の乃木坂でのキャラクターから考えると、まったく違う役柄なので、よく頑張っているなあと思います。久遠姫自体が人質としての自分を変えたいという意思を持って行動するのですが、叫んだり行動力が見える場面で、やはり一本調子でせりふを言い続けたり、体の動きもメリハリがまだ弱いので、この辺りは経験値とか、与田さん自身の想像力の部分かなと。ぎこちない感じがまだ強く残っていたという感想です。そういう部分で変化が出ると、登場してすぐの場面での焦燥感みたいなものがもっと迫ってくる感じになった気はします。

今回、主にこの三人が役柄の中で強い意味合いを持たせたのは、もちろん運営の評価というところもあるでしょうし、現在の力量という点も加味してのことだと思います。そこは妥当だなと思いながら見ていました。朱雀姫の梅澤さんは声が高くないことが、逆に舞台上ではよかったかなと思いました。立ち姿も舞台映えしていますし。セリフ回しなどはこれからの経験次第でしょうか。年長者という役柄なせいか抑揚を抑えた感じですが、単調すぎたかもしれません。大園さんは演技というフィールドよりは、たぶん違うほうが彼女の良さが光るかもしれませんね。それぞれ特性があるので、それでよいと思います。彼女に限らず1・2期生にも同じ話は言えるので。ダンスのシーンでの阪口さんの切れっぷりがすごかった。手足の動きの滑らかさ、指先まできれいに見せる。止める、動くの切り替えなど並んで踊っているシーンでひときわ目を引いた気がします。ライブとかでまじかで見る気があればいいなあと思いました。

 

今回はよい戯曲だったのが、非常に良い方向に舞台の完成度を向かわせたと思います。もちろん経験値が浅い三期生が演じた舞台なので、演技力含めて足らないところが多いのは事実です。それでも、ある程度の完成度をもって観客に見せることができたのは、まずは松村武さんと運営がきちんとすり合わせて、三期生一人一人のキャラクターになぞった姫を置いたこと、その役柄を自分たちなりに消化して演じたメンバーの努力、藤木さん、かとうさんの力量など、いろいろな要素がマイナスにならずに組み合わさって、この「見殺し姫」になったと思います。このタイミングで見ることができてよかったです。

別件ですが、今回は非常に残念な出来事があって、それは観客側のマナーです。自分の周辺の私語の多さ、前のめり、いびき、、、、マナーの悪さは毎回指摘されることが多いのですが、自分も改めてそれを経験して、情けなさと憤りは感じます。乃木坂の芝居だから身内というか乃木坂とそのファンの芝居だから、よくはないけどでもまあ、、、という考えも多いみたいですが、個人的にはどんな舞台であれ、だめなことはダメで終了かなと。となりでずっとしゃべっていた二人にはさすがに声を掛けました。演劇を見に来るという状況は、アイドル向けだからとかどうとか関係ないと思っています。非常に残念な話です。

さて、次は東京ドーム二日目に行って、乃木坂46のドーム初公演を楽しんできます。若月さんはいませんが(残念)。