Electric Sheep

徒然なる日々の記録

劇団☆新感線「髑髏城の七人 season鳥」の感想


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先月末(7月下旬)に見ていましたが、なんとなく感想を書きそびれたままに。どうしようか迷ったのですが、消化不良な気もしたので、大雑把ではありますが、残しておこうと思います。

しかしお金の掛かった舞台だこと。

わざわざこの劇場ができたことに合わせて、これだけの企画を動かすのだから、劇団☆新感線は体力があるなあと思います。

今回はseason鳥なので、キャストは阿部サダヲ森山未來早乙女太一松雪泰子梶原善などの客演陣。そこに常連の池田成志粟根まことなどのメンバー。前回の「花」もすごいキャストでしたが、今回もよく揃えたものです。

前回の「花」は先行予約をすっかり忘れていて、気がつくとソールドアウト。まあ、仕方ない。今回の「鳥」も最初は取っていなくて、仕方ないかなーと思ったところに、タイミングよく空き席の情報を見かけたので確保した感じ。お金が掛かった芝居だけにチケット代も強気w 演劇で一万円台は久々です。ミュージカルくらいですかね、それくらい豪華な作品ということなんですが。

個人的には、まあいろいろと芝居を見ていく中でこういう豪華さも良いなと思います。お金をかけた豪華さも、俳優の肉体から出る表現力もどちらも楽しいものがあります。どちらも観客を魅了するためのモノなので。

さて本筋ですが、簡単に。

時は戦国時代、天下統一を目論んだ織田信長明智光秀に討たれたあと、豊臣秀吉が天下統一を成し遂げるために動いていたその時、関東には関東髑髏党と呼ばれる一群が勢力を広げて、関東に新たに髑髏城を築城する。その城の絵図面を持った棟梁の娘が、城から逃げたことから話が始まる。

その後、亡き信長の遺志を継ぐとばかりに暗躍する髑髏党の党首、秀吉、家康、またその髑髏党野望を砕こうとする忍びが入り乱れた戦いを繰り広げる、、、、

みたいな感じです。

何度も上演しているので、今更感ですが、、、普通にエンターテイメントの活劇です。豪華なセット組み、演出です。

まずセットですが、IHI STAGE AROUND TOKYOという劇場の売りが360度回転です。簡単にいうとTDLにある「スターツアーズ」のような視覚効果を得る仕組みがあります。客席全体の回転と、上下動の錯覚です。平衡感覚が弱い人にはちょっときついかもしれません。ただ客席が回転することでステージはその周りにいくつも組めます。なので、複数のステージに幾つかセットを事前に組んで置くことができます。暗転ではなく回転で進行します。

演出上は、そのステージの移動をつなぐところを作れば良いので、やりやすいのかな?と思いながら見ていました。実際の演者の方はどうなのでしょう。ステージ上を実際に走る場面も増えるし、大変なのかな?とは思いますが。個人的にはストーリー全体が流れるような動きの大きな作品なら面白いと思います。

 演出上の不満という物足りなさとしては、実は暗転も一つの演出効果だったりするので、そういった部分がなく、なんというかどんどん話が流れてしまう部分は、作品次第で難しいと思います。悪く言うと正直、ちょっとドリフのセット回転みたいな感じですw

ただ今回のような活劇では、勢いというか作品のスピード感も大事だったと思うので、その辺りは劇場の特性とストーリーの進行を上手く組み合わせていたと思います。

配役陣は皆さん素晴らしい方ばかりですが、個人的にはこういう時代劇でその役が生きているなあと思ったのが、早乙女太一さん。もちろん幼少から大衆演劇での経験が長いこともあって、舞台での演技うまいのは当然なのですが、早乙女さんはやはり殺陣になったときに身体の動きの滑らかさが良かった。これは作品によっては評価が割れるかもしれませんが、この作品での早乙女さんは他の方との対比という部分も含めて良かったと思います。緩急の付け方含めて、舞台映えされる方ですね。声も艶っぽい方なので、実際の役どころである蘭兵衞が非常にハマっていました。

あとは天魔王の森山未來さん。これはさすがの役どころ。舞台経験が豊富ですし、何より悪役を楽しんでますよね、森山さん。捨之介や蘭兵衞に対する非情さと、信長に対する複雑な想い、野望への強い意思などなど、ストーリー内で見せる天魔王の様々な表情を十分に感じさせる迫力でした。森山さんは声がすごく迫力があって、そこが非常に良かった。ある意味、演出的には典型的な悪役の台詞回しですが、それ逆に迫力を増した感じです。

主役の捨之介、阿部サダヲさんは、いつもながらのサダヲさん。コミカルな部分も主役としての苦しみも含めて、軽妙に演じています。やっぱりエンタメなので、重すぎないってのは大事かなと。蘭兵衞と天魔王がそれなりに重いキャラなので、捨之介が重すぎない感じが残るのは良かったと思います。あとは池田成志さん演じる雁鉄斎との絡みは楽しかったですね。ベテランならでは。

あとは松雪泰子さんの極楽太夫はきれいでした。松雪さんは新感線の作品、結構客演していると思いますが、今回の艶やかな太夫の役はなかなかのもの。ドラマとかでは、自立したキャリアっぽい役が多いなあと思いますが、こういう舞台ではまた別の印象が残ります。

池田成志さんは、もう何やっても楽しいからいいです。自分の役割をきちんと全うできる俳優さんだし、今回も作品中のコメディな部分をきっちりと拡げてくれます。アドリブも問題ないし。自分は「熱海殺人事件」の伝兵衛部長からずっと好きだった好きな役者さんです。

粟根さんは少し前に深川麻衣さんの「スキップ」で見たときと全く違う役柄。まあこの方も楽しそうに演じますね。池田さん同様にこういう方が配役に中にいると、演出家はありがたいだりうなあと思います。

休憩を挟んで三時間以上の作品ですが、一気に楽しめた感じです。歌舞伎のような役者さんの見せ場、決めを作るのはいつもの感じだと思いますが、そういった作り方も含めて中島さんの脚本、いのうえさんの演出と外すことなく作っています。

気になるとすれば、蘭兵衛の心理とか天魔王の心情、捨之介の動機とか、その信長に係わった三人に対する心理描写が定番すぎるとかそういうところなんですが、まあそのあたりを役者さんの表現力で情感たっぷりに魅せるところは、経験値だなと。まあ、そういう作品ではないんですよね、この芝居は。その辺りは娯楽ときちんと割り切っておくべきところ。

あえて気になると言う部分は、そこがすでにフォーマットになってきたことかなと。そのド定番がいいというのも事実でもありますが。例えば今回の配役の構造って、「轟天石川五右衛門」とさほど変わらない。まあどっちも面白いけど。でも自分はこういう感じの演出なのねっていう予測というか、感覚が出てしまうので、そういう部分を含めて定番として楽しむか、それを裏切られような演出にしていくか、そういうこともこれからの楽しみにできれば良いなと。

こうやって感想を打つと、次の「season風」が見たくなってきた。最初は無理に行かなくてもいいかな、、と思っていたのですが。もし日程的に行けそうなら考えよう。あとはチケットがあるかどうか、、、

でも今回は思い立って見に行って良かったと思います。