Electric Sheep

徒然なる日々の記録

舞台「子供の事情」2017年8月6日マチネ・千穐楽の感想


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昨日、見てきた「子供の事情」千穐楽の感想です。

終わった公演なので、安心して書けますwww

少し前に新感線の「髑髏城の七人season鳥」も見ていましたが、感想を書くチャンスを逃したままです、、、もういいかな、、、気が向けば書きます。

新国立劇場は結構久々な気がします。以前書いた「透明人間の蒸気」「贋作・桜の森の満開の下」の再演を見たのがこの劇場で、すごく奥行きの深いステージを使った演出が多くあります。走る役者は大変ですが(笑)

今回は二階席でしたが、ほぼ真正面だったので、無理なく見ることができました。この劇場の問題点は、座席ごとの通路の区切りが少ないので、出入りにすごく苦労する点でしょうか。足元のスペースはそれなりに余裕があるので、まあ移動する人が出ても、多少は楽ですが。

今回、三谷幸喜さんが描いたのは、小学校での教室を舞台にした、子供の話でもあり、大人の世界の構図の縮図でもあります。難しい話ではなく、単純に子供らしい世界観の中に大人びた様子の出来事が繰り広げられて、でもそこは10歳の子供の見せるおおらかさで話が進んでいきます。

配役は

アニキ:天海祐希

ジョー大泉洋

ホリさん:吉田羊

ゴーダマ:小池栄子

ヒメ:伊藤蘭

ホジョリン:林遣都

ソウリ:青木さやか

ドテ:小手伸也

ジゾウ:春海四方

リピート:浅野和之

以上です。濃すぎますよねwww この方たちが10歳の役を演じます。とにかくこのメンツが喋り捲って、動き回って、楽しませる二時間半です。

出来事は転校生であるジョーが放課後にいつも残っている生徒たち「スーパー9」に遭遇するところから始まります。

描かれるのは、子供のするいたずらを(主にゴーダマ)を諫める(アニキ、ソウリ)という構図だったり、ちょっと変わった恐竜大好きなドテをめぐる話だったりと、デフォルメされつつも笑えるエピソードが続きます。

転校生のジョーが動き出すところから、だんだん子供の世界の話に大人の感覚が入り混じって、今まで周りの信頼を得ていたアニキが仲間外れになり、ジョーがその代わりにクラスを治め、かつ引っ掻き回すあたりから、動きが増えていきます。

このあたりのエピソードの盛り込み方はさすが三谷さんで、子供世界でも起こりそうな権力闘争(笑)を大人が見ても笑えるようにかつ、適度なデフォルメを交えつつ見せていきます。この辺りは小学生なのにリーゼント、天然パーマ気味な髪形の大泉洋さんが本当にうまかったし、爆笑でした。あとは恐竜の歩き方の真似をするドテの動きのすばらしさ、「細かすぎるモノマネ」に出したいくらいです。

芸達者が多いせいか、ある程度自由にやらせるシーンも秀逸で、特に前半の学芸会の練習のシーンは傑作。WOWOWの放送でどうなっているか注目です。特に伊藤蘭さんの「スイカ売りの少女」の一連のアドリブ、そのあと林遣都さんにムチャ振りされた小池栄子さんの間抜けな「やっとみつけたわ」の繰り返しミュージカル。大泉洋さんが笑いすぎで、このシーンは本当に面白かった。

千穐楽ということもあってか、出演者の感覚がもう完全に慣れていて、リズム以上に役に対する理解度が相互に深いことが感じられました。せりふごとの間もうまくて、大人が演じる10歳の子供の中に、基本は大人の雰囲気だけどどこか子供らしさをにじませる空気をきちんと感じさせていたことがさすがだと思います。

特に小池栄子さんと青木さやかさんは、本当にうまい役者さん。お二人ともカメレオンではないんですよ、そのあたりが浅野和之さんとかと違うところ。でもしっかりお二人の個性の中に役柄がうまくミックスされて、小池栄子さんも青木さやかさんもその役柄がにじんでくるところがすごいなあと。特に小池栄子さんはなぜKERAさんが起用したりするかがわかった気がします。青木さやかさんもこういう方向にシフトして、正解ですね、本当に。

三谷さんの引き出しの広さは感心します。今回の作品は「エノケソ一代記」「不信」とも全く違う作品です。ちょっとアットホームな感じを出しつつも、コメディとして仕上げています。

見続けていると何となくですが、描きたいものが常に変わるのは当たり前ですが、舞台では「状況」というか「空間での出来事」を巧みに描くなあと思います。三谷さんはドラマや映画だと基本は「人物」が中心だと思います。もちろん表現手法や視聴者の違いや、舞台という空間とモニターという違いはあります。三谷さんの舞台がやはり面白いのはその切り取った「出来事」を「線につなげて見せていくか」のうまさだと思います。今回も大まかにいうと四つのエピソードから構成されてきますが、そこをどうつなぐか、それがラストにどう活かされるか?という中で観客を楽しませる作品です。いたずらにせよ筆箱のエピソードにせよ、そういう大げさでないものをうまく使う技術は流石だなと。

正直、感動とか教訓とかそんな大げさな話ではないし、みんな仲良く!みたいな話にしたいわけでもないしです。あえて言えば、自分の10歳の時代も記憶はほとんどないが、こうだったかもしれないという想像の琴線に少し触れて、そして甘酸っぱくて懐かしい感覚を共有できることが、この芝居での三谷さんからの楽しみ方の提示なのかなと。幼少期の自分を今の自分に重ねて、どう楽しむか子供の自分はもういないけど、今の自分がどう楽しめるかは、自分次第だな、、、とか思いながら。

そういう一人ひとりの感想があって、それで十分だと思うし、三谷さんがこういう作品を変わらず書いてくれるうれしさをこれからも楽しませてもらえれば、ありがたいなあと思います。

最後に役者のみなさん、カーテンコールに四回も出ていただきありがとうございました。お疲れのところ、観客の拍手に応えていただき、そしてやりきった満足そうな笑顔を見せていただき、この作品を見に行って良かったと思いました。

お疲れ様でした。