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Electric Sheep

徒然なる日々の記録

ドラマ「CRISIS 公安機動操作隊特捜班」に見るリアルとエンターテイメントのバランス

ここまで全六話分、あらためて見直しています。やはり面白い作品だと思います。

脚本の金城一紀さんはもちろん作家としても注目が高い方であることはもちろんのこと、ドラマ・映画「SP」で更に注目を浴びたのも事実。このドラマも非常に面白くて、当時はROBOTの面々と組んで作っていましたが、映像的にもチャレンジした部分も多く、また格闘技や銃器なども含めたアクションというところでも、研究を重ねたリアルさが非常に話題になったと思います。

格闘技好きとしては、ジャニーズのアイドルが「三角絞め」をドラマで見せる時代か!って本当に思ったので。

この当時のリアリティの突き詰め方はもう配信されていませんが、iTunesPodcastで金城さんが本広克行さんらと一緒に熱く語っていました。

で、今回の「CRISIS 公安機動捜査隊特捜班」ですが、またしても非常に楽しい作品です。

個性的なメンバーと、決してハッピーエンドに終わらない解決。この終わり方は以前の「BORDER」のラストを思い出します。

で、こういう部分がまたリアルっぽさを感じさせる上手さかなと。ドラマは基本、非現実の中での楽しさを見せるというスタンスが強いので、こういう苦さの残る終わり方は特に印象に残ると思います。またこれがこの特捜班の位置付けにリアルっぽさを出す要因かと。

ドラマの中では本当っぽい演出と、筋書き上ご都合優先というか、そこは仕方ないという部分がうまく混在していると思います。 例えば第一話の新幹線内の稲見とテロリストのアクションシーン。あそこはもう金城さんが小栗旬さんとアクション担当が一緒にビデオを見まくったところから作ったことがよくわかる。SWATとかで公開されている映像なども多くあるので、そういう部分をもとにしてる感じですが、特にテロリストがナイフを出したときに、稲見が足を伸ばして、顔を狙ってきた攻撃を食い止めるシーンなどは象徴的。それから、その後に田丸と稲見がマンションに捜査に行くシーンでの田丸の階段の降り方も同じく。

ああいう小ネタっぽい、でも日頃アクション映画でも見たことがない部分が折り込まれることで、このドラマ内での特捜班のリアルさが際立って楽しいです。格闘技の要素の部分は、金城さんがTwitterでいっぱいつぶやいているので、見るときに一緒に楽しめると思います。

逆に三話目の平成維新軍の議員殺害事件の話は、最後の自決シーンがドラマ優先で、あそこはあの自決がほぼ間違いなく防ぐことができたシチュエーションでした。銃を向けあってあの状況でいくら練習をしていたとは言え、素人の射撃とプロの射撃ですし。あそこは自決優先という結末ありきだったでしょうから、こういった部分はドラマ性が先にくる。

あとは東洋経済の記事で第一話の新幹線のアクションシーンでの非常停止ボタンの件が出ていましたが、ああいう部分もそりゃあ演出上仕方ない部分。

ドラマ「CRISIS」、新幹線格闘シーンの舞台裏 | 旅・趣味 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

悪いという意味ではなく、そういうバランスの上手さが数字にも出ているし、視聴者も楽しめる要因だなと思っています。

二話目での少女売春の回。最後の病院内での稲見が幹事長付きSPを脅したときの「こっち側、向こう側」という話。これは金城さんもつぶやいていましたが、以前の小栗旬さん主演のドラマ「BORDER」との対比になっていて、あのドラマでは主人公の石川がその境目を越えて終わってしまう一方稲見は越えた先から戻ってきていると考えられる。その闇の深さだったり、境目をどう分けるかだったり、同じ脚本家が描く両方の世界を楽しむことができています。

このドラマの中で、よく出てくるのが、田丸から出てくる「光」という言葉。潜入捜査をしているときに、偽りの自分を保つための話だったり、前回はその流れで稲見が電話で光が一瞬見えたと話しています。

でもこれはきっと平成維新軍にも彼らなりの光が見えた中で行動をしていて、他にも立場は違えどもそういうモノを見出したからこその行動なんだろうなと解釈しています。その方法論が人によって違うし、そこに倫理や何やらがつくとは思いますが。

もちろんただのアクション中心のドラマと言ってしまえば、それで終わらせることもできますが、個人的には今までにないドラマを見せたいと言って実際に違うリアリティを見せてくれた「SP」同様に、この「CRISIS」もそういったスタッフ、出演者一同の熱意が非常に嬉しいし、そういう作品を楽しめることを嬉しく思います。

さて稲見はいつあっち側に行きますかね、、行かない理由がないんだけどなあ、、、、。