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Electric Sheep

徒然なる日々の記録

NAPPOS PRODUCE「スキップ」 2017.04.29(土)ソワレ

napposunited.com

池袋サンシャイン劇場、何度も足を運んでいる劇場ですが、今回はキャラメルボックス成井豊さんの脚本・演出、主演は元タカラヅカ霧矢大夢さん、元乃木坂46深川麻衣さんということで、見に行きました。個人的には深川さんが乃木坂46を卒業後、女優に転身して、映像の仕事はありましたが、今回が初の舞台主演ということもあって、見に行きました。

すでに千秋楽も終わっているので、ネタばれ含めて気にせず書きます。ご了承ください。

1.「スキップ」という作品

原作が北村薫さんなので、有名な作品ですし、成井さんは13年前にも舞台化しているので、ファンも多いと思います。17歳の真理子が突然42歳の真理子の身体に記憶が移ってしまう。その17歳の心理のまま、42歳の真理子としての日常を過ごすことで起こる日常と、真理子自身の変化、、、結末に関しては受け止め方はいろいろで、あの終わり方をどう思うかは意見があるんだなというのは、小説の感想にも良くでています。

個人的には、最後のフォークダンスでの17歳への決別と、そのあとのハイキングという部分が非常にこの北村薫さんらしい描き方だなと思っています。「時と人」三部作はどれも読後感含めて、気持ちが前向きというか、そういう心地よさを感じさせてくれるところが良いですね。

2.深川さんが出演すること

最初に選ぶ作品って、意外と難しい。深川さんの場合、知名度はそれなりにある。だが、舞台経験は「プリンシパル」以外は無いに等しい。演技の経験自体もそう多くはない。同時に乃木坂46時代からの「聖母」というニックネームにもあるような本人イメージもある。

そういうことをあわせて考えたときに、彼女のイメージという点では良い作品を選んだなと。年齢設定云々は別として、17歳の真理子が42歳の真理子としての生活にどう向き合って、成長し生きていくか?という部分は、深川さん自身の今の環境にも似通った部分は少なからずあるのかもしれない。そういう成長過程を深川さん自身に重ねると同時に、北村薫さんの作品、成井豊さんの脚本にある、いろいろな言葉のきれいな部分が、深川さんのイメージにも重なって良い印象を残しているなと思います。

作品全体を通じて、人間の本質的な悪意だったり(自分はこういうものをバシバシ描く作品が大好きなんですけどねw)とかいう部分はなくて、人の心の持つ優しさ、寛容、協調、前向きさみたいな部分がまずあっての作品だし、そういうものが根底で良いなと思います。

人を描くには、汚さが必要な時もあるけど、それだけが人ではないと思うので。

そういう作品が深川さんの初舞台作品だったのは、非常に幸運でもあるし、そういうキャスティングをした深川さんの事務所の方々は、いい仕事をえらびましたね。

3.作品の感想

原作のボリュームを考えると、二時間五分弱は結構密に詰まった感じ。

42歳になった自分の戸惑い以上に、真理子の子供(美也子)夫(桜木)の描き方がなかなか難しいだろうなあと。美也子役の木村玲衣さんは非常にうまかった。(自分がよく知っている某高校出身というのもうれしい話)木村さんの発声と動きの大きさ、メリハリはもちろんのこと、母が17歳の記憶を持って、自分を育ててきた記憶を欠落させているという状況を受け入れて、特に友達のような歩み方というか距離間を感じさせる演技は良かったなあと思います。

これは夫役の岡田達也さんにも言えることですが、まあ岡田さんはねえ、、、今更自分が評するのもおかしいくらいです。「嫌われ松子の一生」でも巧かったですし、声が非常に若々しい感じを出されるので、今回のような学生服(笑)もいけますよね。

他の役者さんも基本、キャラメルボックスの若い方が多かったと思いますが、のびのびと演じていました。その中で、粟根まことさん、いい味を出しているわけです。さすがな方ですよ。

やや急ぎ足な感じは残りますが、学校の先生として過ごす17歳の真理子が描かれるようになってからは、そして前向きに進んでいく姿勢が強く意識されてからは、観客の印象に残りやすい部分は増えていたと思います。緞帳での告白、フォークダンスでのシーンで17歳との決別というか、心の成長をきちんと見せて、最後のハイキングの下りで42歳の自分に、妻としての自分に向き合おうとする意思を見せて終わる、、、あのあたりは霧矢さんが非常にうまかった。細かい所作も含めて、女性の気持ちの揺れや意思の部分をきちんと感じさせていたと思います。かなり難しい役どころで、17歳の心理をいせなくてはいけないから、それを深川さんとも感情表現を合わせなくてはいけないので、ここは霧矢さんのうまさが感じられました。

4.深川さんの演技

まあ、ツイでいちばんここが微妙な受け止められ方でしたが(笑)

結局、見る側のスタンス次第ではあります。深川さんが卒業後に素敵な作品に出たこと自体を喜ぶ、、、おそらく満点に近い内容ではないかと。いい作品だったと思います。深川さんのイメージにも重なった世界観でしたから。

乃木坂46時代からのファンの方々の感想が、良くツイでも流れてきましたが、まあ殆んどというか、ほぼ全員こういう内容でした。みんな、頑張っている深川さんを見ることができて良かったと思うし、自分もそこには異論はなく、いい作品に出合えて、主演できたことは大きな財産だなと。成井さんの演出を経験できたことも大きなプラスだと思います。

自分はツイの中では技術的な指摘を二つしています。その上で、成井さんや岡田さんが成長しているというコメントを出している部分は、とりあえず置いておいて、自分が見た公演での感想から言えば、努力賞ではあるけど、舞台役者の技術としては残念な部分があるという感想でした。

一つは声。これは大きく出るようになったという成井さんのブログにもありましたが、まず声量は大変だったろうなあというのが一つ。あとは発声の仕方ができていないので、ステージ上で声が通りにくい(聞こえないとは違います)、後方まで声を届けるために「咽喉」から声を大きく出すので、結果セリフの抑揚があまり出ないままセリフを語る場面が多かったことです。この抑揚の無さが一番残念だったところかな。

あとは所作、これは若干、動きが小さい。腕の動きひとつとってももう少し大きく見せた方が、、、と感じる場面がありました。ただこれは演出上なのかな?という気もしています。さすがに成井さん、気がついて修正すると思うので。美也子さんの動きの切れがすごく良かったので、そこと比較してしている部分はあるかも。

深川さんは女優として進むなら「映像向き」だなと思っているのは、こういうところかなと。同じことは以前、伊藤万理華さんでも思いました。踊りはキレがあり非常にうまいのですが、「墓場」でもそうでしたけど、発声と抑揚の部分はクリアできていないので。

深川さんの発声は、もちろん今後の練習というか、経験で変わることもあるでしょうから、成長という部分を大きく見てあげることも必要だとは思います。あとは42歳の真理子が持つ苦悩というか、葛藤の場面は霧矢さんにゆだねられる部分が多かったと思うので、こういう心理描写の部分の経験も今後積んでいかないと台詞と合わせて、演技の幅が狭いという評価で終わってしまいます。そこは次にどういう仕事が決まるかでしょう。

基本、努力賞はプロの仕事にいらないと思うし、その公演一回がその時にいた観客の評価のすべてだと思うので、自分は今回の深川さんの演技力については、及第点は上げにくいと思います。頑張りを認めた上で、舞台という一つの作品の完成を考えると、残念だなと。四週間の稽古では限界はあったかも。

ただ、公演中に成長もあるでしょう、本人も他の役者さんと比べて自分がどうなのか?はさすがに気がつくと思います。もしまた舞台女優としてステージに上がりたいと思うなら、どう変えればいいのか?を向き合って努力してもらえればいいのかなと。というか、それしかない。

そういう評価も含めて、舞台を「楽しむ」ことができました。見ることができて良かったです。

同じ乃木坂関連でも「犬夜叉」については書いていませんが、、、これは若月さんを観に行ったということ以外は、感想をまとめようがないので(笑)