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Electric Sheep

徒然なる日々の記録

野田地図「足跡姫~時代錯誤冬幽霊~」 2017.01.19(木)ソワレ

先週、見てきました「足跡姫」の感想です。

池袋の東京芸術劇場シアターホールの公演です。去年は「逆鱗」というすばらしい作品でしたが、今回も野田さんがかつて親交を深めた中村勘三郎さんや坂東三津五郎さんへのオマージュということで、江戸時代を舞台としたある役者とその弟に関する話です。

ここから簡単ではありますが、ネタばれの可能性もあるので、畳みます。

 三唱太夫(池谷のぶえ)一座の看板役者である三、四代目出雲阿国宮沢りえ)と弟サルワカ(妻夫木聡)。この時代は女役者が肌を見せる芝居(つまりストリップ)風の芝居を固く禁じていた。この一座はこの商売を行っていたが、役人をごまかすために男が躍るふりをする。ただその時にサルワカが役人に楯ついたため、一座は居場所がなくなり、サルワカは一座から追放されそうになる。そのサルワカを助けるために、阿国はサルワカに舞台の筋書きを書かせることを条件として、懇願をする。

その時に死体を買い取った腑わけもの(野田秀樹)やその死体(古田新太)、さらにその死体が由井正雪であるとして、反乱をもくろんだ戯けもの(佐藤隆太)などが絡んでいく。

サルワカは筋書きが書けずに苦しむが、生き返った死体(古田新太)がゴーストライターとして、筋を書き、そしてそれが大受けする。

その後、阿国は後釜を狙う一座の後輩ヤワハダ(鈴木杏)に追われて、一座を追い出される。

その後、阿国は別の一座を立てるが、その時に「足跡姫」が彼女に取り付き、不思議な舞を見せて、喝采を浴びる。足跡姫は阿国の身体を使って、あることを考えていた、、、

 

こういうあらすじですが、基本、阿国に取り付いた「足跡姫」の見せる芸が、女歌舞伎という設定もあって、野田さんがコメントしている「肉体を使う芸術、残ることのない形態の芸術」という筋書きになっています。多分、この言葉を知っておくとものすごくこの作品に関する想いがより強くなると思います。

役者さんは自分が改めて言うほどのことではないです。宮沢りえさん、妻夫木聡さん、古田新太さん、鈴木杏さん、池谷のぶえさん、佐藤隆太さんなどなどいずれも迫力ある演技でした。個人的には鈴木杏さん、妖艶さというか艶っぽさが良く出ていたと思います。あと歌舞伎界から中村扇雀さん、非常に良いアクセントだったと思います。何役もこなしていましたが、飄々と演じていました。

芸術への弾圧というか、規制みたいなものへの野田さんなりの想いみたいなものが少し入っていたり(途中、お役人に見せるくだり)、最終的に阿国の芸をサルワカが何代にも渡って伝承すると叫ぶくだりなどは、個人名は出てきませんが、歌舞伎界への、勘三郎さん、三津五郎さんへの想いみたいなものがすごく強く出ていて、ぐっときたところです。

面白かったのは生き返った死体の書いた筋書きをさも自分の本のように語るサルワカ、そして舞台上での演技も小道具含めてすべて偽物、そのなかで足跡姫が持つ刀だけは本物、その刀で人を切り、そして最後阿国は自らを、、、という虚実の混ざりを巧みに使い分ける野田さんの戯曲の巧みさ。遊眠社時代から、入れ子構造の筋立てをすることが多いですが、「エッグ」「逆鱗」と戦争に絡めた入れ子構造にしたのに対して、今回は虚実が入り混じる中での「芸」とは何か?というものを楽しむことができたと思います。

由井正雪関連の革命に関しては、体制に飲み込まれるという示唆なのかも知れませんが、もう少しあのあたりは非情に描いても良かったのかも知れません。あそこだけは少し中途半端というか、ぼやっとした感じが少しだけ残った気がします。

今年も最初は野田秀樹さん、、、どうしようもう一回見ておきたいですね。時間があれば、、、