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Electric Sheep

徒然なる日々の記録

乃木坂46 舞台「じょしらく弐 ~時かけそば~」 チーム「く」 2016.05.14(土) ソワレ

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昨年に続き、「じょしらく」の上演です。メンバーは選抜第三列+アンダーという中で一応、立候補という体裁でキャスティングされています。前回福神で入っていなかった若月さん、桜井さん、生駒さんも入っています。だいぶ雰囲気が変わりますね。

今回はチーム「ら」「く」「ご」すべてチケットが取れたので、比較も含めて見に行きます。前回は1チームだけでしたが、正直それで十分でした。今回はそれぞれの演者の違いも含めて鑑賞できればと思っています。

ここからは、脚本、役者の評価も含めてネタバレありで書きます。今後、他のチームの感想も書きますが、まずはチーム「く」についてまとめておきたいと思います。

基本的に「演劇サイド」からのスタンスで書きます。つまり「アイドルが演じた2.5次元の芝居」というスタンスよりは、一般的な「演劇」という評価をしていきます。

同時に役者に関しても、発声、所作を含めて演者としての観点で書きます。推しに関する評価の部分で、不愉快に思う部分もあるかもしれませんが、その点はご了承ください。

 

 チーム「く」は次の編成です。

斎藤ちはる 佐々木琴子 井上小百合 桜井玲香 渡辺みり愛  
◆暗落亭 苦来 斎藤ちはる
◆空琉美遊亭 丸京 佐々木琴子
◆蕪羅亭 魔梨威 井上小百合
◆防波亭 手寅 桜井玲香
◆波浪浮亭 木胡桃 渡辺みり愛

まずあらすじですが、かんたんにまとめると、そば粉のにおいをかいで、時間を越えることが出来た手寅が、未来に飛んでしまう。実はそのあと手寅は元に戻り、そのあと原作の最終回でのオチになっている「コールドスリープ装置」に入る顛末になる。その際に他のメンバーはスリープするが、手寅は「危機回避能力」を持っているので、スリープすることなく、そのまま年をとる。そこで未来にやってくるであろう過去の若い自分に会う準備を含めて進めていき、スリープから目覚めたほかのメンバーに手紙を託して、過去の自分に合う段取りを進めて、無事に過去の自分と対面する。未来へタイムリープした手寅は、老人になった未来の自分と対面後、そのまま過去に戻っていく、、、、「時そば」としてのオチを非常に考えてしまいました(笑)。最後は手寅の噺として終わらせています。時系列の流れはこんな感じだと思います、、また見るので若干違っていたら補足します(笑)。

気になった部分として、まずは脚本です。この話ならもう少し短くまとまるかも。あとは本筋として入れている「今あるものの価値、喜び、重要性」みたいなテーマに対して、原作のエピソードを盛り込みつつ、そのエピソードが本筋に繋がるか?という点で、正直成功はしているとは言い難い構成です。前回の「壱」も「アイドルと噺家の入れ子構造」というのが、非常にわかりづらいというか入れ子が成立しにくい話し立ての脚本になっていましたが、今回もわかりにくいし、盛り込んだエピソードが長すぎて。

正直、時系列の流れは大体つかめたけど、ラストのあのシーンになるまで、得がたいものみたいな部分を台詞などで意識させる場面は、高座の後の魔梨威のシーンなど、比較的少ないので唐突な印象を受けます。どちらかというと、テーマの別の側面になる「失っていくものは、失うからこそその瞬間が大事である」という部分が、画面のテロップにも映し出されつつ、5人のたわいもない会話の挿入が本筋の流れに合わせた体で入ります。だからあの尺を使って描いたものが、結局ラストまで観客にはその点が見えにくい部分が多いのでは?という印象を受けます。時間軸と場面転換は仕方ないにせよ、2時間の舞台の中でその本筋に関わる流れが、合間のエピソードの盛り込みが長過ぎることもあって、間延びした印象が残ります。複数回見た事でこういう意図か、、というのがわかったにせよ、一回しか見ない人も中にはいるはずです。

脚本・演出の川尻恵太さんの今回の脚本はそういう点で厳しいなあという印象です。他の作品ではもっと違うのかも知れませんが、少なくとも前回の「じょしらく」含めて、原作における「たわいもない女子同士の会話」というゆるさと、本筋で見せたい伝えたいエピソードの構成が初見では伝わりにくくて、特に普段芝居を見慣れない人にとっては、混乱の方が大きいと思います。わかりやすく書いてほしいということではなく、序盤に他愛もないエピソードをさくさく盛り込んで後半、一気にオリジナルで行く流れのほうがよりテーマも含めて印象づけやすいのではないかと。

役者についてです。

簡単に言えば、やはり桜井さんと井上さんはこのチームの中では、外部の仕事での経験がそのまま舞台上に出ていました。あとの三人は差は出てしまっていたと思います。発声、台詞回し、動きなどなど、、、そして佐々木さんは多分、演技という仕事自体がまだ彼女のテリトリーではないのだと思います。ちょっと荷が重い。舞台上における自分を役柄として見せるということが、正直まだ徹しきれていない。噛んでしまうこと、セリフが微妙に飛んで言い直してしまうところ、それも残念ではありますが、それ以上にミスをした時に見せてしまうしぐさ、行動が佐々木さんにすぐに戻ってしまってしまう。役柄にとどまることが出来ない。経験値の差も大きいでしょうが、多分そこをどう頑張るかが演技の仕事です。ベテランでも間違えることはあります、大事なのはそれでも佐々木さんは「丸京」でなければいけないのですが、それが出来なかった。観客もみんな「乃木坂ファン」ですから、その瞬間「琴子、がんばれ。良かった、、がんばったね、かわいい」なんですよね。まあ、アイドルの舞台ですから、、、って言えばそれまでなんですが。かわいいは他の場所でもたくさん見ることができます。しかし舞台ではその作り込まれた世界をきちん見せてほしいと思います。自分は最後のカーテンコールで「悔しい」って素直に言ったら良いと思うのですが、、、彼女は「楽しかった」と言ったので、ちょっと残念な気持ちにはなりました。

桜井さんと井上さんは、やっぱり舞台で自分を見せることの意味をわかって演じていると思います。でも正直、二人にはこの作品はフィールドが違うかなと。こういう作風よりももっときちんとした筋立ての作品のほうが、二人の「作りこまれた演じる世界」を楽しめるという気がします。桜井さんは今回「未来に行く手寅」ということで、筋立ての中心にいます。彼女が演じたことで、うまく流れたかなという印象です。井上さんも外部ではないことから、割と気楽にというか、のびのび演じている印象です。見せるべき魔梨威のキャラがぶれることが無かったので、経験は大きいなあと思います。

苦来の斎藤ちはるさん。この日は高座もあって緊張だったと思います。舌が絡むようなしゃべりになってしまうので。何度か次の言葉が出にくい感じでしゃべり、結果噛むような場面がありましたが、がんばったとは思います。高座自体は「明烏」という作品のパロディです。この話は結構有名どころで、昔、志ん朝さんがやったのを寄席で聞いて、すごくうれしかったことを思い出します。途中までは言葉の流れがスムーズではなくて、ちょっと心配でしたがやりきりました。気になるのは。「鬱キャラ」なはずの苦来なのに、その様子がほとんど無くて位置づけ的に微妙な演出だったなあと。色付けがあいまいな気はします。ただ、斎藤さんは舞台上での動きが思った以上に映えていました。あと、所作がなめらかというか、間の取り方も含めて良かったことも確かです。「鬱」に関しては、演出家の狙いが大きいと思います。

木胡桃の渡辺みり愛さん。思った以上にうまく演じていたと思います。キャラが彼女にマッチしていました。台詞回しも思った以上にうまかったと思います。「木胡桃」という役がうまく彼女の中に消化できているなあ、と感じさせるところも多くあり、キャラクターがすっと変わる場面も含めて、ここは渡辺さんなりの「木胡桃」をうまく見せていました。彼女自身、背があまり大きくないので、動きが少し小さいのが残念。飛び跳ねたりとかもあって、躍動感はあるのですが、人形をもっていたり、背中を丸める子供っぽい演技が多いので、小さくまとまってしまう。舞台上を歩くとか、演出の問題なので、渡辺さんは自身が悪いという話でもないのですが、なにか動きがあるときに工夫をすると、もっと舞台上で映えると思います。

演技については、アイドルの舞台だから、、、という部分を多少甘めに見たとしても、やはり台詞が抜ける、噛むっていうのがちょこちょこ出てしまったのは、練習不足かな?という思いはあります。そんな中、斎藤さんの舞台上での所作とみり愛さんのキャラの完成度は良い演技でした。

演者というよりは、今回は脚本に対する残念さもあり、残り2チームは別の角度で楽しみを見つけていきたいと思います。