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Electric Sheep

徒然なる日々の記録

浅井リョウ「武道館」の感想

だいぶ前に読み終わっていましたが、感想をTwitterにさらっと書いたくらいなので、一応残しておきます。

未読の方はスルーで。

設定上は、AKB48のようなアイドルグループの一期生になった、一人の女の子が武道館のステージに立つまでの話です。もちろん武道館のステージに立つまでの紆余曲折があり、それはメンバーの脱退、恋愛、ファンとの軋轢など、今のアイドルグループの周りで起こりうる出来事を実際に起こった事件などをモチーフに作られています。ただたとえばAKBグループでの出来事などは、第三者視点で語られ、そのことがどう波及したかとか、どうグループ自体が変化したかという分岐点のような役目を果たしています。

評価が難しいなあ、、、という印象です。時系列の入れ子構造は悪くないと思いました。この辺りを感じさせないのは、さすが「桐島」の作者だなと。

基本、アイドル一人称に近い状態で進行するストーリーが、身の回りの出来事への心情とギャップ・悩みなどで語られ続ける話です。見えるのはその世界だけなんですよね、正直、ラノベの少女ストーリーっぽいものを読まされている気分になる時がありました。そこにはリアリティはなくて、「ドラマ化するアイドルの世界を描いた」風になっている。大人の世界の言葉が殆んどなくて、少女が仕事と恋愛で悩む、、下手したらストーリー紹介は、これだけで終わってしまう。

一人称で語る世界なのは、あくまでアイドルとしての内面性を描きたいというか、その年代の女の子の等身大を描きたいという意図なのかも知れませんが、共感性が湧かないのは、、まあ自分の年齢考えれば当たり前ですけど。大人の世界の状況だったり、恋愛が発覚してグループ脱退・即引退・結婚っていう結末になることも含めて、ストーリー上はすでにその結論までの心情を読者に伝えているから、そういう部分を脳内補完というか想像性で補いながら、リアリティを高めるしかないのかもしれません。

個人的には、ヘアメイクの人に恋をしてしまう他のメンバーの、髪の毛をさっといじって、、、というエピソードは小説らしいうまいシーンだなと。あれは映像化しても非常に映えるシーンだと思います。守ってきたものが壊れるっていう部分が、そこまでのストーリーの布石も含めて、非常にうまく伝わります。

乃木坂46の高山さんが「ダ・ヴインチ」での連載でこの本を取り上げていて、まあ他のメンバーも読んで感想を出していましたが、アイドル自身からすると、なんというか、変な気分でしょうね(笑)

 

武道館

武道館