Electric Sheep

徒然なる日々の記録

「ベッジ・パードン」at世田谷パブリックシアター

今日の昼公演を見てきました。13時開始で途中休憩が入りますが、約3時間の長丁場。しかし非常に楽しい時間でした。
ということで、簡単ですが感想を上げておきます。一応畳んでおきます。
「ろくでなし啄木」に続いて作家の方が主人公。今回は作家デビューする前の夏目漱石を主人公にイギリス留学時の様子を面白おかしく描いています。下宿している宿で起こる人間模様と、その宿の小間使いであるベッジとの恋愛を描きながら、なぜ英語教師をしていた漱石が作家になろうとしたかを創作していますが、、、、とりあえず笑う場面が数多くあります。でも基本的にさみしいストーリーです。漱石野村萬斎)とベッジ(深津絵里)の二人の恋愛は、漱石には妻・子供がいることからも見えてきますし。そのラストのさみしさは何ともいえず苦しい感情が流れます。でもなぜかこの芝居を見た後の感想はすっきりというか、じめじめした感傷にならないものでした。それは主人公二人の役者さんのうまさとか、三谷さんの作ったキャラクターの造形かなと思います。特に野村さんの演じる漱石の誠実さがしっかり見える部分(みそ汁の下りでの優しさとかは好きですね)や、深津さんのベッジの前向きさ(弟のために体を張る優しさ)がすごく見ていて伝わってきたからだと思います。ほかの登場人物も、嫌な部分をラストに見せるけど、それでもなぜか憎みきれない大泉さんや、姉を売って最後は死んでしまう原因を作る弟の浦井健治さんもやっぱりなぜかさわやかなんですよね、、、、三谷さんのキャラクター作りのうまさが出てるよなあ。笑いの部分はすべて浅野さんの八面六臂の活躍のおかげです。これは本当にすごい。説明できません、見ればわかります。最後の「ベッジの語り」は非常にさみしいですが、ベッジならああいう風に言ってくれるだろうなとか、漱石はそれでも周りに気に掛けられて幸せな奴だなとか、いろいろ思いながらラストを迎えていました。
正直、死者からの助言で作家を目指すっていう展開は、あまり好き流れではないというか安直だな、、、と少し思っていないわけでもないのですが、でもこの作品はこれでいいのかなという思いもあります。いいのかなっていう気持ちになったのは、やっぱり「ベッジ」という女性が魅力的だったからかな? というか深津絵里さんがすごいんだよな、きっと。
この作品、また見たいです。三谷さんの作品でまたすぐ足を運びたいと思ったのは、「出口なし」以来かも。当日券で行くチャンスがあれば、行ってみたいと思います。