Electric Sheep

徒然なる日々の記録

「凡骨タウン」を見た

昨日見に行った「凡骨タウン」の感想です。なんかいっぱい書いたのですが、しっくりこなくってバッサリ切ってしまいました。あっさりテイストですが、ご勘弁。

ある街でヤクザな商売で実力を持つ早乙女(千葉哲也)とその妹・キヌ子(緒川たまき)、その早乙女に育てられて商売を手伝っているケン(萩原聖人)とその仲間(古山憲太郎ほか)。この中でケンがある日仲間を抜けたいという。そのことに怒りを覚えた(さらに長年のさまざまな想いがある)早乙女は、ケンのすべてを奪うと公言し、実行する。ケンは最初、この暴力の螺旋から抜け出すつもりだったが、結局そこからは抜け出せない。早乙女にいわれた「運命論」にあがらいつつ、「自分の選択」にこだわりながら、仲間を抜け出す転機になった「生活の音」をよりどころに浮浪者まがいの生活をしつつも、少しずつ挫折していく。唯一ケンについてきた仲間ナーもかつての仲間に襲撃され姿を消し、ケンの妹もすべてを奪われ、そして最後はケン自身も、、、

という感じです。
とにかく、壊れていく萩原聖人さんが素晴らしかった。壊れたというのは正確ではないですね、自分の選択にこだわったというべきでしょうか。その苦悩が非常によく演じられていたと思います。特に妹を逃がすために鉄パイプを振りかざすシーンは、意思の介在を信じたい想いがしっかり伝わってきました。同じくらいの存在感と、残酷さを見せた千葉哲也さんもすごかった。この二人の個性のぶつかり合いというか、凄みの見せ方はなんとも言えない緊張感です。逆にこの救いのないストーリーの中で美しさを見せていた緒川たまきさん。実際の役としては純粋な妹ということでもなく、ケンのために手を汚すこともいとわない意思の強さも見せています。ケンのよりどころになった「生活の音」はこのキヌ子の出す音でしたが、それがケンとキヌ子の結びつきをより深く感じさせるものだっただけに、余計に結末はつらさを感じさせるものになったと思います。モダンスイマーズの役者さんは主にケンの仲間としてわきを固めていましたが、「SP」にも出ていた古山さんをはじめ、いい存在感でした。個人的にはナー役の津村さんがケンへの友情をストレートに表し、仲間を大事に思うあまりに最後はその仲間に傷つけられる役を見事に見せていました。
救いはさほどないし、なんというかせつなさというか、この芝居のチラシにもありますが「自分にとっての幸福が周りを不幸にする」ことを描くことによって、その得難い幸福の重さを伝えようとしてるのかな?と思ったりしながら見ていました。で、その試みは決して大外れではなく、登場人物それぞれの抱える苦しみを見事に見せていました。
正直、あんまり期待値は高くなかったのですが、これはいい芝居を見ました。このモダンスイマーズというか作・演出の蓬莱竜太さんの作品に期待したいと思います。