雨の中を泳ぐ日々

思いつくがままの気分の記録

コクーン歌舞伎15周年記念「桜姫」(現代版)

昨日、6月9日に行ってきました。今回はコクーンシートで観劇。正直、現代版の出来に少し不安があったので、10000円近く出す気になれなかった。急遽ステージプランの関係か、座席が追加されていましたが、結局セットの上に座席をつくる感じで、全方位客席というレイアウトになっていました。
で、今回は客席に美波さんと小島聖さんが来ていました。美波さんはすごい完ぺきな装いで、逆に小島さんがラフな感じ。でもどちらの方もきれいでした。目の保養、、、、、。そういえばあとで気がつきました。歌舞伎版で桜姫を演じる七之助さんもいました。関係者が結構多かった。
肝心の芝居ですが、正直なところ偉大なる失敗作かも。長塚圭史の書いた脚本が、最後のシメになったときに終息しきれていない気がするんですよね。復讐劇というか何というか、、、なんですが、割とむちゃくちゃな展開が時々出てきて、すんなり入り込めなかったり、話の進展が少ない割に、時間は長いし(約3時間弱)。歌舞伎版の方が、もっとすんなり来るのかな?
笹野さんが一番のびのびと動き回っていて、どちらかというと昔のオンシアター自由劇場風の演出と重なって見えました。演出が串田さんだから当たり前か。
大竹しのぶさんは、うまいのですが「15歳」の役は無理だった。その世界にどうにも入り込めなかった。彼女の見せる「桜姫」の部分というか狂気というか、心理はわからなくもないのですが、笹野さんと二人で立ち回っているときの狂言回し的な位置がどうにも見えにくい。そこで話が今一つわかりにくいんですよね。
白井晃さんの聖人の役柄は滑稽さがにじみ出ていてよかったですね。偽善者ではないけど、聖人ではなくただ女々しい同性愛者という感じが、面白かった。その白井さんと表裏一体をなすゴンザレスが勘三郎さん。現代劇でみたのは初めてでした。普通に役者でしたね、歌舞伎じゃなくて。でもやっぱり歌舞伎でみたいと思います。昨日の舞台をみていて、歌舞伎のときならどうするんだろう?という目線でずっと見ていましたから。最後もそういう歌舞伎風の演出にして、ストーリーを〆てしまいましたし。
多分、相変わらずの存在感で芝居を支配していたのは、古田新太。やはりすごいよ、この人は。しかしよく働くなあ、、、秋山奈津子さんと二人でいい大人のカップルを演じていたし、その小悪党ぶりが何ともいえずに面白い。不可思議な心理に流される登場人物が多い中で、古田新太だけが「現在だけを信じている、未来も過去も所詮は幻想である」 という信念に基づいて生きてきたのに、それが最後は、、、、という周りの人物との対比も面白かった。
という具合に、出演者の質は高いし、個々のキャラクターの造形も個性があって面白くて(15歳設定はまあご愛敬としても)、なんかかみ合っていない印象。時系列がつかみにくかったり、超常的なエピソードが唐突に入り込んできて、それを消化する土壌が、観客側に出来上がっていないところで出てくるのも戸惑った。野田秀樹なら世界観で一気に持っていくんだけど。
効果音の出し方は、昔からよくある手法で(個人的には、初演の贋作・罪と罰が好きだった)、ただやっぱりこういう生音を出す手法は流れ上も舞台っぽくてカッコよいなあ。
多分、WOWOWで放送してくれると思うので、そこでもう一度じっくり見ると印象が変わる作品かも。
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