Electric Sheep

徒然なる日々の記録

NODA・MAP第十一回公演「贋作・罪と罰」雑感

ということで、ただ今見てきました。結構長くなるかも、、、読んでくれる方、お付き合いください。
会場は渋谷シアターコクーン。今回の会場は「赤鬼」の時みたいに、ステージ裏側にも座席を設けています。セットも使い方も同じで立てた棒を扉代わりにしたりして、演出しています。今回の作品に関して言えば、前回の初演である、大竹しのぶ版を同じ会場でみているのでどんな違いがあるのか、とても楽しみでした。前回の「走れメルス」を好きな方がどう思うか、、、、だいぶ印象が違っているのではと思います。自分は今回の「罪と罰」の方がかなり好きな作品です。
ストーリーはあの小説と基本的には同じです。思想や理想のために、それを成し得る自分の為に、人を殺しても良いという理念を実現して、老婆を殺す。そのあとその理想実現のため、苦悩し続ける、、、。設定を江戸時代末期に置き換え、主人公の回りに尊王攘夷を描くことでストーリーが展開して行きます。
主役は松たか子さん。「オイル」以来なので三年ぶりです。相手役はおなじみ古田新太。「メルス」に続いてです。あとは遊眠社時代からのファンの自分にはたまらない段田安則小松和重ジョビジョバ以来久々の舞台で見るぞマギーなどなど、自分的にうれしい役者さんがてんこ盛りでした。
今回はおもしろい進行で、役者さんは着替え以外は舞台回りの椅子にすわって出待ちをするという演出をしています。普通なら役者さんはじっと見ているだけなのですが、野田さんは古田さんのアドリブで笑ってました。アドリブと言えば、途中で野田さんのづらがマジで飛んだり、古田さんが次のシーンで見せなきゃいけない紙を走るところで落としてしまい、取りに戻ったら松さんに「君が戻る理由は分かっていたが、、、」とせりふで言われる始末。あとは野田さんの熱烈なキスシーンが見物です。アドリブはふだんほど多くないかも知れません。実際、舞台の進行もかなり早いし、尺を考えたり、初日だった事を考えるとあんな感じだろうなと思います。
前回との比較ですが、基本的なストーリーはいじりようがないので、役者から受けた印象になるかな、、、大竹さんと松さんでは、松さんのほうが塾生三条英に近いかも。それは大竹さんだと、「大竹しのぶ」になってしまうオーラの出方の違いでしょう。古田さんと筧さんの比較は、、これはキャラちがいですかね。どっちも既にもっているものがあるので、、、ただ今回の作品でいえば、古田さんの方が落ち着いた演出に思えます。宇梶さんは道化的なポジションですが、ああいうの楽しそうにやりますね。今回の舞台はスピード感が強調されていないので、少しどっしりした感じが合っていたと思います。しかも終盤のやや倒錯的なシーンでは、特に大柄な体格が際立っていました。良い女優さんだと思ったのは英の妹役の美波さん。眼の印象が客席からでも良く分かります。モデルさんですが、もっといろいろチャレンジして欲しいですね。段田さんの役人は前回の生瀬さんとちがって、かなり冷静な印象。生瀬さんの時は、もっと動きが多かったせいなのでしょうか?はじけた感じがします。今回の段田さんは控えめな策士というか、思慮深い感じです。小松さんやマギーは結構出てましたね、何気に動きも多いし、ケガしないでくださいね。
初日ということもあって、少し噛んでしまう場面が三カ所ほどありました。仕方ないですね、こればかりは。
基本的には「殺人は許されるものなのか」というのが問いかけです。肯定されるべきものではありませんが、なぜ許されないのか?その答えを観客に行間を読み取らせることで、訴えている気がします。決して概念的な舞台ではありません。むしろ思いっきりストレートな作品だと思います。初演の時もそうでしたが、やや散漫になる印象が残る人がいるかも知れません。殺人に革命をからめるので、どうしても両方を描かないと、才谷役のポジションがあいまいになるからです。そこが重なるので初めて、英が救われることになり、エンディングへと向かいます。だからこその初演の時の筧さんであり、今回の古田さんだと思います。ここ数日の殺人事件をふっと思って、余計にこの芝居の訴えが気にかかります。
次回ですが、パンフにあった座談会(蜷川さんとの対談です)には新作を「プロレス」ネタで書いているそうです。ただし、先日の「ハッスル・マニア」の和泉さんの参戦のあおりで寝かそうかなとの発言も。あとは「桜の森の満開の下」を歌舞伎でみたいな記述が!これはかなりすごいかも。いずれにせよ、これからも精力的な活動が期待できそうです。
この芝居、もう一回みたいなあ、、コクーンシートで良いので確保しようかな、、、じわっとくる感じ。「キル」とか「パンドラの鐘」とか派手な感じの多い作品の中でこの「罪と罰」は正直地味な展開なのは否めません。しかし、そのストーリーに流れる観客が創造する世界は非常に奥深くて、その流れが止まらない感じがします。気が付けば初演から十年経っているんですね。爺になったもんだ、自分。
今回はカーテンコール、四回も出てくださってありがとうございます。
まとまりのない文章ですね、、、あとで推敲するかも、見た印象そのままに書いてしまいました。