雨の中を泳ぐ日々

思いつくがままの気分の記録

いざ!渋谷!

首都圏直撃ということで、一応ハーフコートなんぞ着て、寒くない格好で外出しました。
渋谷Bunkamuraシアターコクーンが今日の目的地。野田秀樹の「赤鬼」を見てきました。前回の日本語ver.はすでに9年近く前だったのか。そんなに前だと思わなかった。劇団解散後の段田&野田の競演だったのでえらくうれしかったことが思い出されます。
今回は、野田秀樹小西真奈美大倉孝二ヨハネス・フラッシュバーガーの4人。野田ヨハネスは前回も出ています。(勘違い、ヨハネスではなくてアンガスだった。)前回見たときも思いましたがこの作品は360度お客さんを入れる手法をとっていますが、非常に効果的。役者の動きも無駄が少なく、非常に集中できる演出で普段の野田演出とはだいぶ違います。前の野田秀樹の一人芝居もそうですが、そういう狭い空間での作品のほうが実は向いてるのでは?もちろん通常のNODAMAPの作品も面白いですが。自分の芝居の見方がそうなのかも。
ストーリーは孤独な女性と受け入れられない「赤鬼」の交流と悲劇を兄の回想で振り返る構成。基本的な流れはほとんど前回の公演と変わっていません。結構思い出してみると基本的な演出もそう大きな変化はなかったかも。段田→大倉は正解。大倉のあのくねくね動きや話し方は、今回の役にかなりはまっていた。小西真奈美に関しては、少しかわいらしい過ぎたかな。今回の「あの女」役はもう少し肉感的な女優さんの方がよかったかも。でも舞台経験が多い女優さんなので、声の通りとか良かった。そういう意味では冬の「走れメルス」は期待できそう。野田は相変わらずのうまさでした。今回は比較的アドリブっぽい演出が多目かも。大倉相手だからやりやすかったのだろうか?小西真奈美の「いつもより近づきすぎ!」は面白い&うらやましいぞ大倉!
ストーリーの流れとして「絶望感」が打ち出されてきますが、決して後味の悪い演出にならないのは、演出のうまさかな。野田の演じる兄の存在が、効果的。時代ははっきりしないけど、ある海岸沿いの村落という差別が起こりやすい舞台設定も、こういう結末を観客が受け入れやすい材料だと思います。
ヨハネスは「赤鬼」として、そして「異邦人」として、非常にうまく演じられていると思います。言葉が通じない演出なため、どうしてもオーバーアクションな演技で観客に魅せていくけど、そこが怖さやあきらめを描くのにとてもよかった。実際日本人をつかってもこの役柄は成立するかもしれないが、そこをあえてヨハネスにしている意味がこういうところにあるかなと思います。
9年経っての印象は、やはりすばらしい作品だなということだけ。決してハッピーエンドでもないけど、人が何に希望を見出し、何に絶望し、何を受け入れ、何を捨てていくのか、そして生きのこったことで味わう更なる悲しみ。短時間の間にこれだけのものを見せられる作品を見ることができて、この野田秀樹の世界を知ることができてとてもよかったと思っています。野田秀樹の作品の中では「透明人間の蒸気」「桜の森の満開の下」と並んで好きな作品。初演の印象がとても強くて正直過度な期待になったらどうしようと思ったところもあったけど、全然そんなこともなく非常に密度の濃い約2時間のTRIPでした。出演者のみなさん、最後5回もカーテンコールに出てくださってありがとうございます。冬のNODAMAP公演が早くも楽しみです。
この「赤鬼」の戯曲は

解散後全劇作

解散後全劇作

にあります。